e-scope 3-in-1活用法その2です。
ここでは前回製作したケーブルを使用し、簡単な回路の特性をe-scopeで測定し、シミュレーション結果と比較してみます。
*ハイカットフィルター
下図は抵抗一本とコンデンサ1個で構成したハイカットフィルター(ローパスフィルター)です。
このフィルターは設定周波数よりも高い周波数の信号を減衰させるものです。
この設定周波数のことをカットオフ周波数とよび、詳細は省略しますが、振幅がもとの信号の約70%になる周波数として定義されています。
カットオフ周波数 fc=1/(2*π*R*c) となります。
ここでは抵抗1K、コンデンサ0.47uFなので、fc= 339Hzとなります。
LTSpiceで周波数特性をシミュレーションするために、まず、電圧源を右クリックし、右側のAC Amplitudeのところに1を入力後OKボタンを押します。
次にメニューの[Simulate][edit simulation CMD]を選択します。
上図のように入力したあと、OKボタンを押すと、マウスカーソルの近くに「.AC oct 20 100 20k」という文字が現れるので、回路図の適当な場所に配置します。
この状態で、シミュレーション開始ボタンを押してシミュレーションを行ってください。
シミュレーション終了後、マウスで出力端子をクリックすると、グラフ画面に周波数特性のシミュレーション結果が表示されます。
その結果が下図になります。
次に、上の回路を実際の抵抗とコンデンサを使用して組み、e-scopeで観察したのが下図です。
これは、FFT同期スイープモードで測定したものです。
次に示すのが、リニアスイープで120秒かけて測定したものです。
どちらも、ほぼ同じ周波数特性ですが、6kHz付近が大きく減衰していてシミュレーション結果とはだいぶ異なっています。
これは使用したコンデンサが理想コンデンサとは異なった特性を持っているためです。
使ったのは0.47uFのマイラーコンデンサというものですが、寄生インダクタンスが大きく、自己共振周波数(今回の場合は6kHz)以上ではコンデンサではなく、コイルのような動作になってしまっています。
e-scope 3-in-1を使用するとこのような特性も簡単に測定することができます。
次に、e-scopeのオシロスコープモードでの、簡単な回路での測定例です。
*ダイオード整流下図が実験を行った回路です。ダイオードと抵抗だけの回路です。
今度は過渡解析を行う ので、電圧源を右クリックして下図のように入力してください。
[Simulate][edit simulation CMD]は次のように入力し、回路図に配置してください。
この回路のシミュレーション結果が下図になります。
下図が同様の回路をe-scopeで観察した例です。
本来はいわゆる半波整流を行う回路で、正弦波の上半分だけが出力されるのですが、入力電圧が小さいため、ダイオードの電圧ロス(0.6~0.7V)が無視できず、波形の先端だけが出力されています。
平らな部分が少し斜めになっているのは、低域信号が減衰しているためです。
下図はLow Boost機能でiPhoneのマイクアンプに含まれるローカットフィルターの特性を逆補正しています。
ただし、直流付近までの補正はできないので、シミュレーション結果とは若干異なる波形になりますが、動作概要を把握することはできると思います。
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