e-scope 3-in-1活用法、その3です。
今回はe-scope 3-in-1をアンプのゲインや歪の測定に使用する方法を紹介します。
今回測定した回路は下図のようにトランジスタを1個だけ使用したアンプです。
回路動作に関する解説やシミュレーション結果等は別途日をあらためて行う予定ですが、今回は測定結果のみ紹介します。
この回路は入力信号を大体50~100倍程度に増幅することができるアンプです。
SG出力端子(iPhoneヘッドホン出力)は回路図中のV2の位置に接続します。
モニタプローブ(iPhoneマイクin)は回路図のOutと書かれている部分に接続します。
ボリュームを最低に絞っておき、e-scope 3-in-1の信号をONにします。(周波数は1kHz)
その後、ボリュームを徐々に上げて行き、出力レベルが下図のように600mVpp程度になるようにします。
この状態でSG出力を測定したのが下図です。
両者の振幅読み取って割り算をすればゲインが求まりますが、FFTアナライザを使用したほうが簡単に測定できます。
この入力をFFTアナライザモードで観察したのが、下図になります。
同様に出力端子を観測したのが、下図です。
それぞれの図の左上のピークレベルの差がゲインです。
ゲイン = -11.3 – (-47.8) = 36.5 dB
これは66.8倍のゲインということになります。
ちなみに、このようなアンプゲインの倍数表示をdB表示にする時は、
dB表示 = 20 * log10(ゲイン倍数表示) とし、逆計算は
倍数表示 = 10^(dB表示/20) とすれば求まります。
慣れるとdB表記のほうがいろいろ便利です。
歪測定
上記FFTアナライザの結果を見ると、2kHzのところに大きなピークがあるのがわかります。
これはこのアンプの歪が大きいことを表しています。歪の成分はほとんど2次高調波であることもわかります。
画面の左下に4.90%という表示がありますが、これが歪率を表しています。
次に下図のような回路でも同様の測定をしてみます。この回路は、最初の回路のC2というコンデンサを外したものです。
この回路の測定結果は、出力が下図で、
入力が下図になります。
同様にFFTモードの入力は下図で、
出力は下図になります。
見やすいように縦軸のゲインをゲインを上げています。
ゲインは -12.3-(-31.0) = 18.7 dB(8.6倍)と最初の回路よりもだいぶ小さくなっています。
しかし、2次高調波は最初の回路よりもかなり小さく、歪率は0.56%とかなり改善していることがわかります。
歪み率が良い回路を測定する場合は、画面スワイプで縦軸感度を上げ、高調波が画面に表示されるようにしてから歪み値を読み取ってください。
コメントを残す