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番外編:e-scope 3-in-1活用法4(100均アンプの測定)

番外編:e-scope 3-in-1活用法4(100均アンプの測定)

e-scope 3-in-1活用法の第4弾です。

今回は100均アンプ(100円ショップ、セリアのボリュームアンプ)を測定してみます。
秋葉原で部品を集めて買ったら、何倍かの値段になりそうな物なので、いろいろ改造して楽しんでいらっしゃる方も多いようです。
Exif_JPEG_PICTURE

裏蓋をあけると、
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部品点数はかなり少なく、使用しているICにはTDA2822Mという刻印があります。
ICはSGS-THOMSON(現ST)の”DUAL LOW-VOLTAGE POWER AMPLIFIER”もしくはその互換品のようです。
下のブロック図はSGS-THOMSONのTDA2822MのTDからの引用です。
TDA2822testcir
ステレオ2chもしくはBridge接続(BTL接続)によるモノラルパワーアンプとして使用できるICのようです。
TDには内部等価回路図も掲載されているので、興味のある人は”TDA2822M”で検索してTDを入手してみてください。
このブロック図を参考に、100均アンプの回路図を読み取ったのが下図になります。

100均アンプ
発振止めの抵抗、コンデンサの接続が少し変わっている以外は、基本的にはTDのテスト回路と同じ回路になっています。
Bridge(BTL)接続の回路を測定する場合は、バランス入力可能な測定器で出力両端を測定する必要がありますが、残念ながらiPhoneのマイク入力はGND基準での入力しかできません。
そこでまずは、片側づつの出力を観察してみます。
e-scope 3-in-1の信号源はFFT最適化をONにした状態で1kHzに設定します。(この時、FFTの分解能は11Hzのモードにしておいてください)
アンプの片側出力にiPhoneの入力を接続した状態で、アンプのボリュームは最大にしておき、iPhoneのボリュームを徐々に上げていきます。
波形がクリップしない最大出力にした状態が下図になります(無負荷)。
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この時のアンプの入力端子の信号は下図のようになっています。
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出力レベルが-4.4dBで、入力レベルが-38.7dBなのでゲインは34.3dBであることがわかります。Bridge接続としてのゲインは6dB高く40.3dB(約100倍)となります。
次に負荷として10Ωの抵抗を接続した状態が下図になります。
IMG_1141
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振幅が若干減少し、無負荷時に0.26%だった歪みは2.2%まで大きくなっています。
ただし、Bridge接続の場合、片側出力の測定結果で歪みが悪くても、両側出力を測定した場合は歪みが改善されることもよくあります。
せっかくなので、Bridge接続出力が測定できるようにするため、差動シングル変換回路を制作することにします。
下図が今回製作した差動シンングル変換回路です。
sado-single
詳しい動作原理は省略しますが、+IN端子と-IN端子に加えられた入力差動信号をGND基準のシングル出力に変換します。
比較的大きな信号も入力できるよう、1/10の減衰器となるような定数にしてあります。(このページの入力ケーブルの定数の場合、クリップしないでiPhoneに入力できる信号は2Vpp程度)
使用したオペアンプICは、入力、出力ともに電源からGNDまで使用可能なNJRCのNJM2732Dです。
電源はUSBから取れるように5Vとしていますが、電池2本の3Vでも大丈夫です。
この回路を使用して測定した結果が下図になります。
IMG_1160
差動シングル変換回路のゲインが-20dB(1/10)なのでその分減衰し、Bridge主力の両端を測定することによるゲインが+6dB(2倍)あるので結局、計算上は-6.8-20+6 =-20.8dBとなるはずですが、測定結果は-20.6dBとほぼ計算通りの値になっています。
歪みに関しては1.0%と片側出力を測定した時よりも若干良い値になっています。
周波数特性に関しては、下図のように多少高域が減衰していますが、20KHzまでほぼフラットと言ってもいいレベルです。
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以上は乾電池を使用しての測定結果ですが、外部電源を使用して、電源電圧を変化させた時の歪特性のグラフを以下に示します。
これはe-scope 3-in-1のFFTモードで、入力レベルを変化させた時の出力レベルとTHDを測定し、グラフに書いたものです。
TDA2822M自体は電源電圧範囲は1.8Vから15Vまでとなっていますが、今回測定した100均アンプは電源コンデンサの耐圧が10Vなので、この電圧以下で使用する必要があります。
100均アンプ歪
電源電圧を3Vから5Vに最大出力レベルは2倍になっています。出力電力は4倍になるので、「ボリュームアンプ」を音量を大きくしたい用途で使用する場合は、外部電源を使用できるように改造するのがよさそうです。

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